「特定技能」資格とは

深刻な人手不足の状況に対応するため新たに創設された在留資格です。
「特定技能1号」と「特定技能2号」の種類があります。
「特定技能1号」は、熟練した技能を必要とする業務ではなく、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務従事者が対象ですので、即戦力として期待されています。

「特定技能2号」は、2023年6月に対象分野が拡大されました。以前は、建設分野と造船・舶用工業のみに設けられていた特定技能2号が、介護を除く全分野に拡大されました。特定技能2号は、熟練した技能が求められます。入管の資料では「自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいいます。」となっています。要するに、「十分な経験があり、自分の判断で仕事をができ、後輩の教育もできる」と言うことであり、各分野で要件が定められています。
特定技能で認められている業務は他の在留資格では認められていない業務ばかりなので、特定技能2号の資格を得るためには、特定技能1号を数年経験する必要があると考えられます。

特定技能1号

  • 在留期間: 1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算上限5年まで
  • 技能水準: 試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除)
  • 日本語能力: 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した者は試験免除)
  • 家族の帯同: 基本的に認められない
  • 受入れ機関または登録支援機関による支援が必要

特定技能2号

  • 在留期間:3年、1年または6か月、何回でも更新可能
  • 技能水準:試験等で確認、業務経験が必要
  • 日本語能力:外食業と漁業は日本語能力試験N3以上、その他の分野では定めなし
  • 家族の帯同:可能
  • 支援の必要なし

特定技能2号の技能試験は、多くの分野で2023年3月末までには実施される見込みです。

技能実習と特定技能1号との比較

特定技能1号技能実習生
日本語能力日本語能力試験N4、日本語基礎テストに合格または同等レベル要件なし
技能技能試験に合格要件なし
給与水準日本人と同等以上日本人と同等以上とされているが、最低賃金の場合も少なくない
転職可能不可
手数料(本人負担)国内:無料
本人から手数料を徴収することは職業安定法違反

国外:国よって異なる
送り出し機関を通す場合は手数料を徴収される場合が多い
送り出し機関に対し
$2,000〜$10,000程度
初期費用(就労開始まで)30万円〜60万円
人材紹介会社を通さずに採用する場合、初期費用はほとんど発生しないが、多くの場合は人材紹介会社に対して紹介料がかかる。
40万円〜60万円
事前訪問の有無等により費用は大きく異なるが、渡航費・入国後講習の負担は必須
支援料・管理費月1万円〜3万円程度
登録支援機関へ支払い
月3万〜5万円程度
監理団体へ支払い

特定技能1号人材の採用するにあたって、技能実習修了者や留学生等の国内人材を採用することで初期費用を抑えることが可能です。また、日本での生活や業務経験もあり、日本語能力もN3~N2程度の人材が多く安心して採用できる層だと言えます。

特定産業分野

特定技能1号は、以下の16分野に限られます。

分野2028年3月末までの受け入れ人数
建設80,000人
造船・舶用工業36,000人
自動車整備業10,000人
航空業4,400人
宿泊業23,000人
介護135,000人
ビルクリーニング37,000人
農業78,000人
漁業17,000人
飲食料品製造業139,000人
外食業53,000人
工業製品製造173,300人
自動車運送24,500人
鉄道3,800人
林業1,000人
木材産業5,000人

外食業は技能実習制度が無いため技能実習生からの移行が見込めません。また、宿泊や介護も技能実習制度が始まって間もないため、技能実習生からの移行はまだ十分には見込めません。これから特定技能資格を取得して来日する人材や、学校を卒業する留学生が見込まれています。

一方、その他の業種は技能実習生からの移行が多く見込まれています。技能実習を3年終えると特定技能1号への変更が可能になるため、より良い待遇を求めて転職活動が活発になると予想されます。既に3年間の作業経験がありますので、即戦力を獲得することが可能です。

分野業務区分主な業務
建設土木型枠施工、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、鉄筋施工、とび、海洋土木工
建築型枠施工、左官、コンクリート圧送、屋根ふき、土工、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ、表装、とび、建築大工、建築板金、吹付ウレタン断熱
ライフライン・設備電気通信、配管、建築板金、保温保冷
造船・舶用工業溶接、仕上げ、塗装、機械加工、鉄工、電気機器組立て
自動車整備業自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備
自動車運送業トラック運転者、タクシー運転者、バス運転者
鉄道・軌道整備
・電気設備整備
・車両整備
・車両製造
・運輸係員(駅係員、車掌、運転士)
航空業空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)
航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)
宿泊業フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の 宿泊サービスの提供
介護身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)
(注) 訪問系サービスは対象外
ビルクリーニング建築物内部の清掃
農業耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別 等)
畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別 等)
漁業漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の 処理・保蔵、安全衛生の確保等)
養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動 植物の育成管理・収獲(穫)・処理、安全衛生の確保 等)
林業林業(育林、素材生産等)
木材産業製材業、合板製造業等に係る木材の加工等
飲食料品製造業飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製 造・加工、安全衛生)
外食業外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
工業製品製造業機械金属加工鋳造、ダイカスト、金属プレス加工 、工場板金、鍛造、鉄工、機械加工、仕上げ、ラスチック成形、機械保全、溶接、工業包装
電気電子機器組立て機械加工、 仕上げ、プラスチック成形、電気機器組立て、電子機器組立て、プリント配線板製造 、機械検査、機械保全、工業包装
金属表面処理めっき、アルミニウム陽極酸化処理

2022年8月30日に建設業と製造業の業務区分が大きく見直されました。今まで技能実習からの特定技能へ移行する場合、無試験の場合は基本的に同じ職種しか許可されていませんでしたが、同じ業務区分内であれば移行可能になりました。例えば「型枠施工」で技能検定3級に合格していれば、業務区分【土木】と【建築】に含まれている職種(さく井、とび、建設機械施工、建設大工等)に移行可能となり、自由度が大きく増しました。また、特定技能の技能試験も統合されることになります。

特定技能評価試験

  • 技能水準: 試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除)
  • 日本語能力: 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した者は試験免除)

試験に関する情報は、試験関係|出入国在留管理庁にまとめられています。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00135.html

国内で実施される、介護、農業、漁業、自動車整備については、プロメトリック社が実施しています。
試験を受けるためには、最初にプロメトリックIDが必要です。
新規プロメトリックID取得

国外で実施されるほとんどの試験もプロメトリック社が実施しています。

技能水準

国内外で実施される業種毎の試験で、試験の内容はそれぞれ異なります。

介護

介護の試験は、技能評価試験と日本語評価試験があり、両方の試験に合格する必要があります。技能評価試験は母国語で受験することができます。

介護分野には特定技能2号が設けらていません。その理由は、介護福祉士に合格すれば「介護」という在留資格を得ることができるためです。しかしながら、介護福祉士の試験は国家試験であり、実務経験3年以上と実務者研修を受講しなければ試験を受けることもできません。たの分野に比べて難易度が少し高いと言えます。

試験についての説明
技能試験と日本語試験について
試験を受けるためには、最初にプロメトリックIDが必要です。
新規プロメトリックID取得
国内試験の日程
国内の試験会場
海外試験の日程と実施場所
試験の申し込み
<技能評価試験学習用テキスト>
日本語版
英語版
クメール語版
インドネシア語版 正誤表
ネパール語版 正誤表
モンゴル語版
ビルマ語版
ベトナム語版
中国語版
タイ語版
ウズベク語版

外食業・飲食料品製造業

試験は、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施しています。

国内試験は、年に3回くらい、主要都市(東京、大阪、名古屋、福岡など)で実施されます。ペーパーテストでマークシートで回答します。試験を受けるためには、マイページの登録が必要です。受験資格の確認に5日くらいかかります。試験は、マイページの登録が終わっていないと申し込むことができないので、早めに登録してください。

マイページの登録
外食業の国内試験案内
飲食料品製造業の国内試験案内

国外試験は、プロメトリック社が実施しています。

外食業の国外試験案内
飲食料品製造業の国外試験案内
試験を受けるためには、最初にプロメトリックIDが必要です。
新規プロメトリックID取得
外食業の試験の申し込み
飲食料品製造業の試験の申し込み

学習用テキスト(外食業)
学習用テキスト(飲食料品製造業)
試験は日本語のみなので、日本語のテキストをよく読んでください。テキストは翻訳されていますが、テストが日本語なので日本語の言葉がわからないと答えることができません。

宿泊業

宿泊業の試験は、一般社団法人宿泊業技能試験センターが実施しています。
国内で年3回くらい主要都市(東京、大阪、名古屋、福岡など)で実際しています。試験を受けるためには、イページの登録が必要です。
試験は、筆記試験と実技試験があり、実技試験は、試験官1名との口頭での試験で、フロント業務、企画・広報業務、接客及びレストランサービス業務並びに安全衛生及び宿泊業の基本事項から出題されます。

マイページの登録
試験の申し込み方法
過去の問題
学習用テキスト

国外試験は、2022年9月にネパールでの実施(予定)されましたが、ほとんど行われていません。

ビルクリーニング

ビルクリーニングの試験は、全国ビルメンテナンス協会が実施しています。
国内で年2回くらい主要都市(東京、大阪、名古屋、福岡など)で実際しています。国外ではインドネシアでは年1, 2回実施されていますが、その他の国ではほとんど実施されていません。
試験についてはこちらを参照してください。

製造業

製造業の試験は、経済産業省で実施しています。
2022年8月に業務区分が「機械金属加工」、「電気電子機器組立て」、「金属表面処理」の3区分に統合されました。今まで実施されてきた細かい作業ごとの試験は、今後3区分の試験に統合される予定です。
試験についてはこちらを参照してください。

造船・舶用工業

試験は、一般財団法人日本海事協会で実施していますが、他の業種の試験とは違い、決められた日に試験会場で実施されることはありません。特定技能の試験を受けたい場合は、一般財団法人日本海事協会に問い合わせを行い、試験の実施場所と日にちを決めます。試験日に試験官が実施場所に来て合格か不合格かを判定します。
試験についてはこちらを参照してください。

自動車整備業

自動車整備業の試験は、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会で実施しています。
国外ではフォリピン以外では実施されていません。


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国内試験の日程
国内の試験会場
フィリピンでの試験の日程と実施場所
試験の申し込み

航空分野(航空機整備・空港グランドハンドリング業務)

航空分野の試験は、公益社団法人日本航空技術協会が実施していますが、現在(2022年9月)実施予定はありません。
試験についてはこちらを参照してください。

農業

農業の試験は、一般社団法人 全国農業会議所で実施しています。
「耕種農業」と「畜産農業」の2種類の試験があります。

試験を受けるためには、最初にプロメトリックIDが必要です。
新規プロメトリックID取得
国内試験の日程
国内の試験会場
海外試験の日程と実施場所
試験の申し込み
学習用テキスト

漁業

農業の試験は、一般社団法人大日本水産会で実施しています。
「漁業」と「養殖業」の2種類の試験があります。
※現在(2022年9月)国外での実施予定はありません。

試験を受けるためには、最初にプロメトリックIDが必要です。
新規プロメトリックID取得
国内試験の日程
国内の試験会場
試験の申し込み

日本語能力水準

日本語能力水準は日本語能力試験N4以上、日本語基礎テストに合格していることですが、今後は以下の試験でも認めらることになりそうです。

試験名必要なレベル
J.TEST実用日本語検定E級以上
JLCT(Japanese Language Capability Test)JCT4 以上
STBJ標準ビジネス日本語テストBJ4以上
TOPJ実用日本語運用能力試験初級A-4以上
日本語NAT-TEST4級以上
J-cert生活・職能日本語検定A2.2(準中級)以上

試験以外に、技能実習2号を良好に修了した場合でも日本語能力水準を満たしているとされます。
良好に修了とは、技能検定試験三級(専門級)に合格または実習実施者及び監理団体による出勤状況や勤務態度などを評価する「評価調書」の提出が必要です。

技能実習2号からの移行対象職種

技能実習の職種に対する分野(業務区分)がない職種からは 特定技能1号への移行はできません。

農業関係

職種名作業名分野(業務区分)
耕種農業施設園芸農業(耕種農業全般)
畑作・野菜
果樹
畜産農業養豚農業(畜産農業全般)
養鶏
酪農

漁業関係

職種名作業名分野(業務区分)
漁船漁業かつお一本釣り漁業漁業(漁業)
延縄漁業
いか釣り漁業
まき網漁業
ひき網漁業
刺し網漁業
定置網漁業
かに・えびかご漁業
かに・えびかご漁業
養殖業棒受網漁業漁業(養殖業)

建設関係

職種名作業名業務区分
さく井パーカッション式さく井工事土木
ロータリー式さく井工事
建築板金ダクト板金建築
ライフライン・設備
内外装板金
冷凍空気調和機器施工冷凍空気調和機器施工ライフライン・設備
建具製作木製建具手加工建築
建築大工大工工事建築
型枠施工型枠工事建築
土木
鉄筋施工鉄筋組立て建築
土木
と びと び建築
土木
石材施工石材加工建築
石張り
タイル張りタイル張り建築
かわらぶきかわらぶき建築
左官左官建築
配管建築配管ライフライン・設備
プラント配管
熱絶縁施工保温保冷工事ライフライン・設備
内装仕上げ施工プラチック系床仕上げ工事建築
カーペット系床上げ工事
鋼製下地工事
ボード仕上げ工事
カーテン工事
サッシ施工ビル用サッシ施工建築
防水施工シーリング防水工事建築
コンクリート圧送施工コンクリート圧送工事建築
土木
ウエルポイント施工ウエルポイント工事土木
表装壁装建築
建設機械施工押土・整地土木
積込み
掘削
締固め
鉄工構造物鉄工作業土木
築炉築炉建築

食品製造関係

職種名作業名分野(業務区分)
缶詰巻締缶詰巻締飲食料品製造業全般
(飲食料品製造業全般(飲食料品
(酒類を除く)の製造・加工・安 全衛生))
食鳥処理加工業食鳥処理加工
加熱性水産加工 食品製造業節類製造
加熱乾製品製造
調味加工品製造
くん製品製造
非加熱性水産加工 食品製造業塩蔵品製造
乾製品製造
発酵食品製造
調理加工品製造
生食用食品製造
水産練り製品製造かまぼこ製品製造
牛豚食肉処理加工業牛豚部分肉製造
ハム・ソーセージ・ベーコン製造ハム・ソーセージ・ベーコン製造
パン製造パン製造
そう菜製造業そう菜加工
農産物漬物製造業農産物漬物製造
医療・福祉施設給食製造医療・福祉施設給食製造外食業

製造業

職種名作業名業務区分
鋳造鋳鉄鋳物鋳造機械金属加工
非鉄金属鋳物鋳造
鍛造ハンマ型鍛造機械金属加工
プレス型鍛造
ダイカストホットチャンバダイカスト機械金属加工
コールドチャンバダイカスト
機械加工普通旋盤機械金属加工
電機電子機器組立て
造船・舶用工業
フライス盤
数値制御旋盤
マシニングセンタ
金属プレス加工金属プレス機械金属加工
鉄工構造物鉄工機械金属加工
造船・舶用工業
工場板金機械板金機械金属加工
めっき電気めっき金属表面処理
溶融亜鉛めっき
アルミニウム陽極酸化処理陽極酸化処理金属表面処理
仕上げ治工具仕上げ機械金属加工
電機電子機器組立て
造船・舶用工業
金型仕上げ
機械組立仕上げ
機械検査機械検査機械金属加工
電機電子機器組立て
機械保全機械系保全機械金属加工
電機電子機器組立て
電子機器組立て電子機器組立て電機電子機器組立て
電気機器組立て回転電機組立て機械金属加工
電機電子機器組立て
造船・舶用工業
変圧器組立て
配電盤・制御盤組立て
開閉制御器具組立て
回転電機巻線製作
プリント配線板製造プリント配線板設計電機電子機器組立て
プリント配線板製造

その他

職種名作業名業務区分
家具製作家具手加工
印刷オフセット印刷
製本製本
プラスチック成形圧縮成形機械金属加工
電機電子機器組立て
射出成形
インフレーション成形
ブロー成形
強化プラスチック成形手積み積層成形
塗装建築塗装機械金属加工
土木
建築
鋼橋塗装
金属塗装機械金属加工
造船・舶用工業
噴霧塗装造船・舶用工業
溶接手溶接機械金属加工
造船・舶用工業
土木
建築
ライフライン・設備
半自動溶接
工業包装工業包装機械金属加工
電機電子機器組立て
紙器・段ボール箱製造印刷箱打抜き
印刷箱製箱
貼箱製造
段ボール箱製造
陶磁器工業製品製造機械ろくろ成形
圧力鋳込み成形
パッド印刷
自動車整備自動車整備自動車整備
ビルクリーニングビルクリーニングビルクリーニング
介護介護介護
リネンサプライリネンサプライ仕上げ
宿泊接客・衛生管理宿泊